健全な農産物とは「地球温暖化と自然環境の変化による害虫の異常発生」

3.健全な農産物とは? 

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2024,2,21(水)雨、最高温度11度、最低温度6度

3,健全な農産物とは?

―農薬より怖い除草剤・抗生物質・化学物質・硝酸態窒素による土壌複合汚染―

有機農産物は安全?有機無農薬野菜?についてどこまで消費者は知っているので

しょうか?消費者は農産物の安全性について農薬のことしか言いませんが、農産物の

安全性を阻害している以下のような四つの課題があるのです。

 

PART4.「地球温暖化と自然環境の変化による害虫の異常発生」

 農園のメールに時折、「貴農園は有機無農薬野菜ですか?」との問い合わせが舞い

込む。その度に、農薬の話を詳しくして差し上げるのだが、大概の方は「えっ!農薬

を使っているのですか?」と・・・、正直またか!と思ってしまう。

いつの間にか、「有機野菜は無農薬である」と言う間違った概念が定着してしまった。

農業現場で近年起こっている害虫被害の実態を皆様に知っていてもらいたい。

近年になって地球温暖化による異常気象が常態化し始め、害虫の異常発生が続いて

いる。

地方自治体からカメムシやアカダニの異常発生情報が流され、地域の農家に農薬の

散布を要請される。何故なら、一気に撲滅しないとカメムシの繁殖力は強く、その

地域全体に大きな被害がもたらされるからです。

昨年は当農園もピーマン・パプリカ・万願寺とうがらしなど、その80%以上がカメ

ムシ被害に遭い、出荷不能となった。夏の主要な作物が壊滅しました。

 

 

5月頃、巻き始めたキャベツには蝶々が産み落とした卵から孵化した青虫が葉っぱを

食い荒らす。地中からは越冬していた夜登虫が這い上り、キャベツに大穴を開ける。

キャベツは出荷前に腐り始め、葉は簾上に。これでは流石に消費者へは届けられない。

種を蒔き、4日ほどするときれいに新芽が芽吹く。二週間後、本葉が出揃ったころ、

その芯がことごとく食べられている。仕方なく、劇薬で一旦害虫を撲滅して新たに種

を蒔く直す。

シュウ酸と言う微毒性を有するほうれん草も害虫被害から免れない。本来虫も毒を持

つ野菜には近づかない筈であったが、葉っぱを食い荒らした後、その先端で死んで

いる夜登虫の異様な風景に身の毛もよだちます。

臭いの強いニラなどにもアブラ虫が付く。こうなると最早為す術がない。

 

この姿をその質問者に見せてやりたいとの衝動に駆られる。有機無農薬と言う言葉が

独り歩きを始めたものですから、ほとんどの有機農家は、こう答える。「はい!農薬

は全く使用しておりません」と・・・

そう答えないと、その有機農家から野菜を買ってもらう人が居なくなってしまいます。

これが有機JAS認定を取得した農家であっても農薬を使わないと死活問題になります。

特に蛹から成虫となった蛾などが飛び回り始める5月中旬頃から11月初旬頃までが

農薬を使用する頻度が上がります。葉っぱなどに産み付けた卵が孵化し、幼虫が

葉っぱを食い荒らすからです。

これが農業現場の実態です。消費者や無農薬野菜とはうんぬんと言っている学者達に

もっと現在の農業現場を知ってもらう必要があります。

消費者や国家の誰が農業者を守ってくれるでしょうか。慣行農業であれ、有機栽培で

あれ、自然栽培であれ、農業者も生きていかねばならないのです。

通常の農家では一ヶ月の間に5~7回ほど農薬を散布します。減農薬栽培でも10日

に一回は散布します。特に出荷直前になると使用頻度は上がってきます。何故なら

虫食い痕のある野菜は消費者が買ってくれないからです。

責められるのは生産者である農家ではありません。流通や消費者達や一部有識者

なのです。

 

むかし野菜の邑でも、こんなメールが飛び込んで来ることもあります。

「こんなにひどい状態の葉物にはお金を払えませんよ。流石にこれはひどいですね」

と写真を添付して送られてきた。確かに葉っぱは虫食いの痕が多く、葉っぱを食い

ちぎられている。

それでもせっかく育った野菜ですから、煮込んでしまえばどうと言うことも無いの

ですが。

お客様の定期購入のお申し込みの際、虫食い痕などのお断りを入れて居たことは

すっかり忘れていらっしゃるようでした。

そこで農園主はこうお返ししました。

「この害虫大量発生時季、出荷できた葉野菜は畝全体の1/3しかないのです。後は

みな鋤き込んでしまいました。

何とか出荷に耐えうるものだけをお送りしたのですが、お支払い頂けないのであれば

やむを得ないですね。この時季は3~4日間隔で農薬を使用すれば良いのですが、

私たちもお客様と同じものを食べますので、農薬の使用はいたしませんでした。

次回からは虫食いの痕の無い野菜をいずれからかお買い求めください」と・・・

このお客様は以降、返信は無いが、未だにご継続頂いております。分かって頂いたと

信じたい。

気持ちは分かるのですが、農業現場の実態を知るべきであり、農薬と害虫のどちらの

方が怖いのでしょうか?と首をかしげてしまう。